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zoom RSS 辻邦生「背教者ユリアヌス」読了

<<   作成日時 : 2005/11/08 00:23   >>

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前々から読みたいとは思っていた長編を読了した。

文庫本で上中下の三巻。
「傑作小説70冊」をすべて読むという目的がなければ、いつ読めたかわからない。

噂に違わぬ名作だった。
まずこれだけの長さでありながら破綻せず、一定の調子で書き上げられていることが素晴らしい。

さらに歴史の勉強にもなる。
ローマ史のなかでは盛りを過ぎ先細っていく、なかなか興味が持てなかった時代だっただけに得した気分である。

ただ、さすがに冗長な部分もある。
ユリアヌスがキリスト教を嫌悪する描写が何度もくりかえされる。
キリスト教=ユダヤ教を端緒とする一神教がカルトで非科学的で非文明的なのは現在でもいささかも変わらず、十分にわかりきったことのように思うのだが。
むしろ哲学を求道するユリアヌスが至った処世感をもっと知りたいように感じた。
政治を司り、軍を率いることは、どう彼のなかで解決されていたのか。

ともあれ、もし彼がペルシアを制していたら、そして長命であったなら、(この作中通りの人物だったらという留保の上だが)キリスト教がかくも歴史を貶めることはなかったかもしれない。
停滞した中世の暗黒時代は訪れず、アフリカや南米、東アジアの人々がかくも苦しむことはなかったかもしれない。
歴史にifはあり得ないが、そんなことを考えて満ち足りた読書を終わった。

※「奈良ホテル」の庭を見下ろす。Leica IIIf + Summicron 50mm/F2

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コメント(1件)

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何気なく流していたらフト目に付いたので...
辻邦生は僕もお気に入りの作家の一人で代表作は一応目を通しました(読んだというのは3回目ぐらいから)。
好きな順に挙げると「嵯峨野名月記」、「春の戴冠」そして「背教者ユリアヌス」というところですか。いずれも歴史小説ですが、その幅の広さにまず感心してしまいます。しかもテーマも多彩。
「フーシェの革命暦」だったっけ?タイトルがうろ覚えですがいずれ読もうと思っています。
辻邦生がお気に入りならマルグリット・ユルスナールもおすすめです。「ハドリアヌス帝の回想」「黒の過程」「東方綺譚」など。
frisco
2006/05/15 10:45

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